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はじめまして!
当「合鍵物語」は、合鍵にまつわるたくさんの特別な思い出を集めたサイトです。
両親共働きで鍵っ子だった思い出、彼から初めてもらった鍵、などなど!とっておきのエピソードがいっぱい。
合鍵は複製できても、思い出は複製できないのです。ぜひ一話ずつ大切に読んでいってくださいね。

鍵っ子の放課後

今日は僕の小学校時代のクラスメートの話をご紹介します。

そいつは、ともかく「やんちゃ」な奴だった。
両親が近所で大衆食堂を経営をしていて、昼間は家に帰ってもそいつ一人。
そういう子どもは学童保育に通うことになっていたんだけど、当時は地元の学童法育が定員オーバーで、そいつは学童に入れなかった。
学童保育に入るにも優先順位っていうのがあるらしくて、仕事中とはいえ、同じ町に両親がいるそいつは後回しになってしまったそうだ。
そんなわけで、そいつは毎日、学校が終わってから夕方にお母さんが仕事を抜けて夕食の準備に戻ってくる時間まで、一人で過ごさなければならなかった。
保育園時代から、やんちゃな性格だったらしくて、小学校に入るなりガキ大将だったそいつは、さっそく子分をつくって自分の家に集めるようになった。
もちろん、大人は誰もいないから、何をしても怒られない。
そんな場所にガキ大将と子分の悪ガキ軍団が集結したのだから、もう大変だ。
家の中で野球はするし、火遊びで台所の壁を焦がすし、挙げ句の果てには近所の人が怒鳴り込んできてもう少しで警察騒ぎになりそうだったことまであった。
学校でもずいぶん問題になったし、そいつのお母さんも頭を悩ませていたみたいだけれど、悪ガキ軍団の暴走はそれからもしばらく続いた。

そいつが変わったきっかけ、それが合鍵だったんだ。
学校から家に帰っても誰もいないということは、もちろん、合鍵が必要になる。
そいつはかっこいいキーホルダーを付けた鍵を持っていて、よくそれを自慢していた。
「鍵を持たせてもらえるのは、大人の証拠」みたいに思っていたみたいだ。
ところがある日、いつものように子分を引き連れて家に帰ったところ、自慢の合鍵がないことに気付いた。
どこで無くしたのかは、まったく見当がつかない。
真っ青になって子分たちと一緒に探したんだけど、どこにもない。
学校まで戻って教室の隅から隅まで探したけれど、やっぱりない。
そんなことをしているうちに、奴のお母さんが夕飯の準備に帰ってくる時間が来てしまった。
家の鍵だから、誰かが拾って悪用しては大変だ。
すぐにお母さんは鍵屋さんを呼んで、家の鍵を付けかえたそうだ。
そんな事件があってから、そいつは子分を家に集めなくなった。
鍵も学校にいる間は大事にポケットの中にしまって、やたらに見せびらかすことはなくなった。

合鍵は、責任をもって扱わなければならないもの。
苦い思い出とともに、ガキ大将がすこし大人になった。
そんなエピソードでした。

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